背 景
3年前に150台導入したWindows Mobile端末が販売中止になったため端末の切り替えを決定。
対 策
Windows MobileアプリケーションをiOS対応のMagic xpaでiPadに移植。
結 果
2ヶ月で移植完了。画面設計に注力し操作性が向上したため、ドライバーの入力時間が半減。
リプレースの背景
東京都に本社を置く産業廃棄物処理業者、高俊興業株式会社様は、2010年にWindows Mobileで動作する伝票管理システム(With‘sシステム)をMagicのモバイルRIAで構築され、大幅な業務効率化を実現されていました。
それから3年が経過し、このたび、モバイル端末の切替えに伴い、Windows Mobile用に開発されていたアプリケーションをiOS上に移植。Magic xpaでの開発により、開発期間約2ヶ月で180台ほどの端末切替えをスムーズに達成されました。
高俊興業株式会社様が2010年に開発された伝票管理システム(With‘sシステム)は、産業廃棄物の収集運搬トラックのドライバー150名が利用する、マニフェスト伝票(産業廃棄物管理票。以下「伝票」)の入力システムです。
導入以前は、事務担当者が毎月約4万枚を超える紙伝票の入力に、多大な時間を要していました。加えて、従来の紙伝票に替えて電子マニフェストの導入を進める動きが業界内で主流となりつつあり、入力伝票は3~4割も増えることとなっていました。
事務担当者の作業負荷は限界に達しており、これを解決し業務の効率化を図るためにMagicのモバイルRIAで開発されたのが、Windows Mobileで動作する伝票管理システム(With‘sシステム)です。
ドライバー150名にWindows Mobile端末を配布し、ドライバーが待ち時間を利用して伝票の入力作業を行うことで、入力作業の飛躍的な効率化に成功されていました。
問題なく稼働していた(With‘sシステム)でしたが、使用していたWindows Mobile端末が販売中止になり、増やすことができなくなったことをきっかけに、端末の入替を決断。iOSとAndroidを検討した結果、社内でのバージョン管理のしやすさを考え、iOSが選択されました。
開発期間は2ヶ月、2013年9月から約1ヶ月で180台のリプレースを完了させました。
iOS に対応するMagic xpaで容易に移植を実現
今回のプロジェクトを終え、開発を担当された高俊興業株式会社、情報システム部の藤沢部長は、「Magic xpaはiOSに対応しているため、容易に移植ができた。デバイスにあわせた基本的なコーディングはMagic xpaに委ねることができるため、ユーザビリティに優れた画面設計に注力することができた。」と、Magic xpaを評価されています。
Magic xpaは、1つの開発環境と開発手法で、クライアント/サーバ、Webアプリケーション、RIAを開発できる、ビジネスアプリケーションに特化した開発・実行プラットフォームで、iOSとAndroidにも対応し、モバイルOS向けの開発言語を使用して個別に開発する必要がなく、一つの開発手法だけで両方のネイティブアプリケーションを短期間、低コストで同時に開発できる特長を持ちます。
そのため今回のように、過去に開発したアプリケーションを最新の環境や様々なデバイスに流用することも容易で、将来にわたり既存資産を有効活用できる点も大きなメリットとなっています。
操作性の向上が最重要課題 画面設計に注力
「2010年の開発時にノウハウを蓄積することができていましたので、“できる”という見通しがありました。事実、移植は簡単に終えることができました。そうした余力があったからこそ、端末入替えを機に実現したい課題だった、操作性の向上について充分に対応することができたと感じています。まずデバイスの選択時においても、Magic xpa がiOSとAndroidにも対応していることから選択の幅が広く、自分たちに一番合うデバイスを採用することができました。iPadとiPad miniを検討しましたが、携帯性よりも操作性を考慮した結果、iPadを選択することになりました。
そして画面設計には、特に時間をかけてこだわりました。実際に使用するユーザーの意見を取り入れるため、180名に及ぶ各ドライバーの意見を集約。ミーティングを重ね、画面設計に反映していきました。画面設計での第1のポイントは、iPadを選択したことで画面が大きくなり、従来は4画面で遷移していた入力画面を、1画面に集約できたことです。以前のWindows Mobile端末は画面が小さいためにどうしても画面遷移が必要になり、導入当初は『入力すべきところがわからなくなる』とユーザーのドライバーから声があがり、操作に慣れるまで2~3ヶ月を要したようでした。
しかし今回は、1画面に集約できたことで入力に迷うことも無く、入力のわずらわしさが解消されています。
第2に、年配者のドライバーには難しかったローマ字入力から五十音字入力に対応されたことです。入力ストレスがなくなりスムーズな入力が可能になりました。
こうした工夫を重ねることで、直感的に操作できると、ユーザーも1ヶ月で操作を習得。入力時間も半減し、業務の効率化と入力精度の向上にもつながりました。
また、iPadになってアクセススピードが速くなったことと、契約形態により年間100万円のコストカット、という思わぬメリットもありました。」(高俊興業㈱ 藤沢氏)
今後は幅広い業務活用に期待
「また、iPadによって社内の情報共有にも、より幅が生まれてきました。一部試験的にLINEを使って情報共有を行っていますが、コミュニケーションが活発化しています。例えば新人が、廃棄物の種別に迷ったときに、写真を投稿する。すると先輩が教えてくれる、といった風に使われています。特に若い人は順応が速い。それにつられて、年配者の使用頻度も増え、iPadに慣れ親しみ、文字入力がスピードアップしたという効果も現れているようです。今後は全社員間のコミュニケーションツールとして活用できる可能性も感じています。
また現在はGPSの位置情報を利用したシステム開発に着手しています。位置情報と待ち時間を分析し、業務効率アップにつなげていく予定です。業務利用へのアイデアはたくさんありますので、今後もMagicの生産性を活かして開発の効率化を積極的に行い、ユーザーにメリットをもたらすシステム開発に取り組んでいきたいです。」(藤沢氏)
▲iPad版 伝票管理システム入力画面
適切な画面設計により、可読性・操作性が向上した