生産管理系システム構築の中軸ツールとして採用
油圧式クレーンやト ラッククレーンなどのトップメーカーである「株式会社タダノ」の情報シ ステム部門が分離・独立して発足(1987年)したタダノシステムズは、親会社タダノ向けのシステム支援業務のほかに、外部ユーザー企業を対象に、生産管 理システムの構築・サポート、生産関連アプリケーション・パッケージの開発・販売、各種業務パッケージの開発・販売、CADを中心とした技術系システムの 開発・サポートなど専門性の高い事業を幅広く展開しています。
このうち、Magic eDeveloperを活用して目覚ましい成果を上げているのが生産管理系分野です。
同社では1995年に、外部ユーザー企業の生産管理システムを構築するための中軸ツールとしてMagic eDeveloperを採用しました。この選定の理由について同社の淀谷賢治 取締役・ネットビジネス部長は、「生 産管理システムは、ユーザー企業ごとに独自に作り込む部分があるため、柔軟な対応が必要になります。また、データ量もきわめて多く、将来にわたって変更・ 修正が行われるので、メンテナンス性に優れていることも開発ツールの要件となります。これらを考慮し、約半年をかけて複数の開発ツールを比較検討した結 果、Magic eDeveloperを選択しました。開発したプログラムの処理スピードが速かった点も高く評価しました」と説明します。
以来、同社では、親会社タダノの購買先を中心に約30社にMagic eDeveloperで開発した各種システムを納入してきました。
生産管理システムは現在、12の作業工程ごとにパッケージ化され、ユーザー企業の実情に応じて必要なサブシステムから導入できる、カスタマイズ容易なシステムとして高い評価を得ています。
そして、このシステムのベースとなっているMagic eDeveloperの開発生産性とメンテナンス性の高さが改めて実証されたのが、2006年8月の親会社タダノの生産管理システム改築に伴う、納入先シ ステムの変更・修正でのことでした。この改築は、実に35年ぶりという大改修で、変更・修正の内容は、タダノと購買先企業との間でやり取りされるデータの 種類の変更やデータ項目の追加、項目桁数の変更など多岐に渡っていました。そのため、納入先のシステムにとっても抜本的な改修が必要となっていました。
15社の抜本的なシステム改修で威力を発揮
タダノの購買先でEDIで接続されているのは約50社。このうちタダノシステムが手がけてきたのは15社のシステムで、うち12社がMagic eDeveloperベース、3社がCOBOLベース(他社市販パッケージを含む)で構築されていました。
Magic eDeveloperを含む複数の言語・ツールを使って納入先システムの改修を担当したITビジネス部チームリーダーの木田敏博氏は、次のように振り返ります。
「COBOLベースのプログラムの場合、注文番号や部品番号の桁数を拡張しようとすると、生産管理システムの最初の工程である受注から最終工程の手配ま で、プログラムのすべてにわたって手を入れる必要があります。これに対してMagic eDeveloperベースのプログラムであれば、データベースの項目を拡張するだけで、後は自動的にプログラムのすべてに反映されます。プログラムの変 更・修正では、COBOLと対比すると、Magic eDeveloperのほうはほとんど工数をかけずに対応できたという印象です」
生産性はCOBOLやVBの6倍 お客様からも大変喜ばれる
今回の改修で同社が試算した各種言語・開発ツールの掛った工数は、Magic eDeveloperを1とすると、COBOLやVBの他社製パッケージは4、個別作成システムは6という結果でした。つまり、Magic eDeveloperは他社製パッケージの4倍、個別作成システムの6倍の生産性です。価格面では「競合他社の請求額より約500万~1000万円安く改築できました」と淀谷取締役は言います。
実際、サービスイン(2006年8月)前の数カ月は、3社のCOBOLプログラムの改修に2名の担当者が張り付きになったのに対し、Magic eDeveloperベースのプログ ラムの方は、3名で12社のシステムを改築しています。しかも、COBOLベースのシステムは改修に平均3~4カ月かかったのに対して、Magic eDeveloperは平均1カ月で終了したといいます。お客様からも 「稼働時期が早くなり、開発費用も少なくて済んだ」と大変喜ばれています。
メンテナンスや緊急対応でも優れた機能を発揮
このように開発面で高い生産性を示したMagic eDeveloperですが、システム稼働後の緊急対応でも優れた機能を発揮しています。
「COBOL プログラムでバグによるデバッグ などが発生した場合、プログラムを初めから終わりまで詳細に調べ手直ししていましたが、Magic eDeveloperには使いやすいクロスリファレンスやデバッガーなどのメンテナンス機能が備わっているため問題判別が容易で、スピーディな解決が可能 になっています」(木田チームリーダー)
さらに、プロトタイピングによってユーザーの要件やニーズを逐一確認しながらスパイラル式に開発できる点も、同社では高く評価しています。「システム構築では、開発がスタートした後に変更や修正が入ることがよくありますが、オブジェクト指向のプロトタイピング機能によって柔軟な対応が可能です。今後も、Magic eDeveloperを生産管理関係の中軸ツールとして活用していく方針です」と淀谷取締役は語っています。