企業年金を支える事業所、加入者・受給者を支援するサイト「年金なび」
株式会社セキュリティ情報研究所は、創業以来、Magicで企業経営、企業年金業務全般、顧客情報管理、ホテル・旅館のフロント管理、産業廃棄物処理業向け、建設業向けなど、多彩なシステムの開発を行ってきた会社です。
同社では、企業年金の加入員・受給者と事業所、そして企業年金をつなぐポータルサイト「年金なび」をMagic uniPaaS®で構築、昨年4月に公開しました。「年金なび」はビジネスモデルの特許出願中で、東京都の認定事業にもなっています。
サイト構築の経緯について、セキュリティ情報研究所 代表取締役 鶴野 雅裕氏は、次のように語ります。
「日 本の年金システムは、企業年金を頂点に、加入事業所、加入員・受給者のピラミッド型の構造を成しています。当社は、企業年金向けのシステムを作って20年 以上販売してきました。しかし、事業所が任意で加入する企業年金は、事業所や加入者の経済状況がよくないと、発展が望めません。そこで、ピラミッドの下層 に目を向け、基盤を支える人々を支援するシステムを作らなくてはいけないと考えました。そこから、企業年金、事業所、加入員・受給者の三者をつなぐポータ ルサイトの構想が始まったのです。」
「年金なび」は、サイトを通して、企業年金、事業所、加入員・受給者が、双方向に情報交換できる仕組み になっています。企業年金は、事業所及び加入員・受給者への情報公開をサイト上で行うことができます。また、これまで、企業年金と事業所間で紙媒体にてや り取りされてきた書類が電子化され、郵送書類がオンライン化されたことで相互の経費削減につながりました。
さらに、年金なびは、加入済みの 事業所及び会員登録した加入員・受給者に対し特別な福利厚生サービスも用意しています。年金なびが独自に提携したトラベル・レジャー、ファッション、家 電・ホビー、美容・健康、グルメ、医療・介護等の施設を特別価格で利用できるようにし、ポイントの還元も含めて、会員向けに企業年金の加入付加価値として 提供しています。
一方で、企業年金に加入している事業所が、サイト上で自社の製品やサービスを宣伝することができるサービスを設けています。
「製 品やサービスが売れれば、会社の収益が上がります。収益が上がれば、従業員の給与が上がり、人員増加も見込めます。そして人員が増えれば、企業年金は加入 員が増えます。相互に働きかける場を提供することで、日本全国、誰もが継続して発展する。『年金なび』は、未来存続のための仕組みだと考えています。まず は、仕組みづくりが大切でしたので、最初にビジネスモデルを確立し、特許申請を行ってからシステム開発に着手しました。」(鶴野氏)
迅速な改善の繰り返しを可能にするMagic uniPaaS®
「年 金なび」は、一見しただけでは静的なサイトに見えますが、各ページはMagic uniPaaS®で動的に構築されています。背後に抱えた巨大なデータベースから、企業年金共通の情報と固有の情報を合わせて抽出し、動的にサイトに表示 しています。サイトは、雛形となる骨組みが用意されており、そこにデータベースから読み込まれた情報が表示されます。特徴的なのは、データをHTMLの状 態でMagicのデータベースに格納しているということ。データとして保管されているHTMLを変更すれば、他に影響を与えずページの一部を変更できるつ くりになっています。そうした仕組みの構築に、Magic uniPaaS®が活用されています。
「Magicを使って構築するメリット は、開発スピードです。『年金なび』は、新しい仕組みの構築であるために、問題の解決と改善の繰り返しでした。サイトが完成しても、それで終わりではあり ません。収益を上げる仕組みをつくるために、日々プログラムの改善が必要になります。その改善の繰り返しにも、開発スピードの速いMagicの良さが活き ていると感じています。
当社がMagicで開発を行っている理由には、私自身、1992年頃からMagicでシステムを開発してきたことが 挙げられます。技術者の認定も取っています。そのため開発から離れた今でも、案件に応じて実工数を想定できますし、プログラムの設計について指導すること もできます。経営者として、コストを意識しながら、開発を正しい方向に導くことができます。『年金なび』は、東京都の認定事業でしたので、開発期限があり ました。Magicを使っていたからこそ、納期までに開発を終えることができたと言えます。」
MagicのSaaS事業化も視野に
構 想に1年、開発に2年要したという「年金なび」。昨年の4月のサイト公開後、アクセス対策や顧客である企業年金にチラシの配布を依頼するなどして、継続し たマーケティング活動を行ってきました。その成果として、現在、およそ10の企業年金が「年金なび」に登録しており、その加入員・受給者は合わせて50万 人を超えています。
「現在は、このサイトを見れば年金の情報がわかる、困ったことがあっても助けてくれる、という場を作ることに重きを置いています。今後は、個人の加入員・受給者が、自身の年金総額を閲覧できるなど、踏み込んだサービスの提供を考えています。
ま た、利用者をさらに増やして収益モデルを確立させること、事業者向けのビジネスモデルを確立させることを目標にしています。具体的には、Magicの SaaS事業として、Magicのパートナーのシステムを『年金なび』上で事業所に提供できるようにしたいと考えています。将来的には、SaaS版の業務 委託について、厚生労働省の認可申請も考えています。」(鶴野氏)
今後ますますの発展が期待される「年金なび」。Magic uniPaaS®が、その展望に貢献し続けることでしょう。