プラスチック用塗料のトップメーカー
プラスチック用塗料の研究開発・製造・販売でトップを走る武蔵塗料株式会社は、生産管理の高度化と海外展開に備えて、従来のシステムを Magic eDeveloper を使って全面的に刷新しました。
同社の塗料は幅広く利用されていますが中でもメーカー各社の携帯電話、デジタルカメラ、PC、液晶テレビなどのボディ用では群を抜いています。携帯電話で は、「日本で製造されている約半数」が同社の塗料と推定されています。また、液晶テレビやプラズマテレビ、DVDプレイヤー、自動車内装部品などの高級感 溢れる塗装にも、同社の塗料が多数使われています。
同社が取り扱うのは主に調色品であり、過去受注した調色品のデータは約10万色あります。「数百種類の原材料などを組み合わせ発注者様の指定されたどんな 難しいで色でも正確に再現して提供しています。またお客様が実際に塗装されて色が出るまで技術フォローをさせていただいております。このプロセスは職人的 な経験と技術を要する難しい作業となります」と同社の石川芳男取締役(生産本部副本部長兼管理部部長)は説明します。
そのため「一般的な生産管理システムと合致する部分があまりない」(管 理部システム管理課の市村仁課長)のが同社の生産管理システムの特徴ですが、1998年に dbMAGlC V7 で開発した従来システムを導入して以降、1日に生産計画を組める量も着実に増え、現在では生産設備の見直しや人員の再配置などを実施して生産量も倍増し納 期対応も確実に出来てきました。また売上もIT関連が好調なこともあり10年で約10倍に伸びています。「生産管理システムの重要性と効果を改めて認識しています」と石川氏は評価します。
そして、扱い量の増加や新しい要件に対応するために実施したのが、今回の Magic eDeveloper によるシステムの全面改築です。
海外製造拠点で共通に使えるシステム
同社は過去10年間に、マレーシア、中国、韓国、米国、欧州へ相次いで進出し、急速に商圏を拡大しています。また、それに呼応して各地に製造拠点を建設し、現在も複数の拠点を計画中です。
新システムでは、各製造拠点で利用できる共通の生産管理システムと、従来、手作業で対応していた各種作業の自動化・効率化が大きなテーマとなりました。そ して、システムを一から作り直すことになるため、開発ツールの選定もいったん白紙に戻して検討することになりましたが、結果的に Magic eDeveloper を選択しています。
市村氏は、「何よりもV7時代の実績を高く評 価しましたが、それに加えて Magic eDeveloperが各言語に対応する多言語サポート ( Multilingual Support ) 機能を備えているのでグローバル展開が容易であるのと、機能強化した Magic eDeveloper によって弊社のニーズに対応した作り込みがきめ細かく行えると判断したためです」と選定の理由を語ります。
従来の生産管理システムは、受注入力が行われると生産管理システムに登録され、それを製造を担当する生産部のほうで照会し、在庫状況を確認して製造に着手 するという流れで組まれていました。また、生産管理システムは売上管理システムと連動もしていました。
新システムも、この構成に大きな変更はありません。ただし、「プログラムのステップ数が全体で従来の2倍となるくらいの拡張ときめ細かな作り込み」(システム開発を担当した株式会社シィオの三木孝取締役)が行われています。
品質管理と自動化、コンプライアンスへの対応
拡張のポイントは、品質管理と自動化、コンプライアンスへの対応です。塗料の製造に関して は、この10年間に環境や人体への配慮が急速に求められるようになり、現在は出荷の際に「MSDS」 (Material Safety Data Sheet) という製品で使用している化学物質等の情報を記載したシートの添付が義務付けられています。同社では従来、MSDS を別システムで作成していましたが、別システムを廃止し新システムから自動的に出力できるようにするとともに、化学物質の名称から過去に製造した塗料と比 率など即座に割り出すシステムを追加しています。「有機溶剤を使う製品にはコンプライアンスが強く求められますが、今回の拡張で、いかなる事態にも厳正かつスピーディに品質管理が行えるシステムが構築できたと考えています」と石川氏は語ります。
また、自動化では、納期回答の自動FAXや、在庫管理システムと自動倉庫を連動させた自動出庫などを実現しています。これも、作業の正確性とスピードアップに大きく貢献しています。
威力を発揮したマルチ言語対応と拡張性
三木氏は、「弊社では、Magic eDeveloper のほかに VisualBasic や Java なども使っていますが、今回のような拡張や細かい作り込みは、Magic eDeveloper でなければこれほどスピーディにスムーズに運ばなかったと思います。特に、マルチ言語対応(注釈参照)を考えると、Magic eDeveloper しか選択肢はなかったと思います」と振り返リます。
マルチ言語対応の新システムは中国を皮切りに2007年12月にサービスインしましたが、同社ではカットオーバー以降もシステムの変更や拡張を継続しています。石川氏は、 「今回の改築で、グローバル展開するためのシステム基盤が整備できました。しかし、日々新しい要件が立ち上がってくるため変更や拡張が必要で、カットオー バーしてもそこがスタートだと考えています。その要求に、Magic eDeveloper の柔軟性や拡張性、使いやすさが応えてくれています」と高く評価しています。
▲図 武蔵塗料のs生産管理システム概要
Magicの多言語サポート(Multilingual Support)機能 |
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1つの言語で作成した Magic アプリケーションを実行時に他の言語で表示させる機能。 変換ファイルを使用してテキスト文字列を動的に変換するため、アプリケーション本体に手を加えることなく、複数の変換ファイルを用意するだけで、各国語対応のアプリケーションを提供できる。 |