背景
LPガス事業者は、入居時や4年に一回以上の法定点検、ガスメーターや供給設備の付属機器にあっては定期的な交換などが義務付けられている。そのため、そのデータを入力したり整理するための残業が日常的に発生していた。特に3月から4月の繁忙期には入力が間に合わず、情報のリアルタイム性が確保されないため他の業務への支障が発生していた。
対策
Magicで、現場作業員がタブレット端末を利用して点検調査票を直接入力するシステムと、メーターや供給設備の付属機器の交換を行った際の指針や有効期限、機器情報を直接入力するためのシステム(保安WEB入力システム)を、設計から開発・テスト・導入まで2ヶ月で構築。現在のタブレット端末の使用台数は30台。
結果
タブレットの活用で入力作業においては約1.5人分、社内作業や現場作業などの効率化を合わせれば、約5.0人分強の大幅な業務コストが削減された。また、点検調査票の約5万件分(付属書類を合わせると約15万枚)の書類の収納スペースの削減にもつながった。
Magicで5万人の顧客が利用する検針WEB照会請求システムを展開
株式会社明治産業様は、1961年に創業、メイン事業はLPガスの供給で、その顧客数は5万件にも上ります。また、ガス事業だけに留まらず、オーナー様に代わって不動産を経営管理し物件価値を向上してゆく「プロパティマネジメント事業」にも力を注ぐことで、独自の「住」に関する多角的なソリューション提案を展開している会社です。
同社のMagicの導入は1997年にさかのぼります。
「当時、オフコンで基幹システムを稼働させていましたが、ダウンサイジングという時代の流れもあり、クライアントサーバー型アプリケーションへの移行を検討していました。比較検討したアプリケーションは、Magic、PowerBuilder、Visual Basicの3つでした。検討の結果、開発経験があったこともあり、生産性が良く短期間で開発が出来る、更には開発後のシステムメンテナンスやカスタマイズ、データベースの変更も他のアプリケーション比べれば容易に出来ること等も判っていたので、Magicを導入することに決めました。
その後、基幹系システムの機能追加等のバージョンアップを続けながら、2009年からエコーシステム様にご協力いただき、お客様がガス料金等の確認及び支払いをWEBから出来る“検針WEB照会請求システム”を構築し、サービスを開始。現在は約5万人ものお客様が、このWEBサービスを利用されています。」(株式会社明治産業 本田氏)
繁忙期には恒常的な社員の残業が発生
今回、保安点検WEB入力システムを構築するに至った背景について、株式会社明治産業 代表取締役 明永 喜年氏にお話しを伺いました。「ガス事業者は、入居開始や、4年に一回法定点検業務が発生します。従来は作業員が現場で紙の点検調査票に記入し、その後社内のシステムに調査内容を入力していましたが、繁忙期には1日150枚もの調査票が上がってきます。社員が残業しても入力が追い付かず、全ての入力が完了するまでに、約2ヶ月程度かかっていました。つまり情報のリアルタイム性が確保されていなかったため、緊急時にシステムからの照会ができず、膨大な紙の点検調査票から探し出すということもありました。また、5万件分の点検調査票を紙で保管することは、収納スペースの確保も大変です。このような問題を抱えていた所、行政からの規制緩和で、点検調査票が現物印鑑から電子サインでも可能となった事もあり、点検調査票を紙からタブレット(電子データ(PDF))への切り替えを検討し、保安点検WEB入力システムの導入を決断しました。」
Magicが可能にした短納期導入 設計から開発・テスト・導入までを2ヶ月で実現
保安点検WEB入力システムは、開発から2ヶ月という短期間で導入されました。その理由について、開発元である株式会社エコーシステム様は次のように振り返ります。
「まずMagicで作成していた、検針WEB請求照会システムをベースに開発を行なったため2ヶ月という短納期を達成できたと思います。また、Magicで作ったプログラムは拡張性がありますので、雛形のプログラムをしっかり作れば、高い生産性で開発が可能です。」(株式会社エコーシステム 勝木氏)
本タブレットシステムの開発ポイントは、「作業現場での入力となるため、簡単な操作で入力が完了する点を強く意識しました。特にガスの点検調査票は、入力項目数が大変多いため、使いやすさを意識した画面のレイアウトや遷移、そのためのデータベースの設計までを考慮しました。」(株式会社エコーシステム 福島氏)
約5.0人分の業務コストが削減と伝票の収納スペースも削減
「繁忙期でも事務員の残業が少なくなり、約1.5人分の業務コストが削減されていると感じています。さらにペーパーレス化により5万件分の紙の点検調査票の収納スペースも削減されました。また、その後、メーター交換WEB入力システムも開発し、検針とメーター交換のタイムラグで発生する問題も解決できました。現在では、供給設備の付属機器の交換を行った際の有効期限、機器情報を直接入力するためのシステムも導入しており、多くの効果が出ています。」
(株式会社明治産業 代表取締役 明永氏)
操作性の向上とユーザーの要望にも随時対応できるインフラの構築
「今後は、基幹システムもMagic xpaへのマイグレーションとデータベースの入れ替えを含めたバージョンアップを実施して、増大するデータに対処し、あいまい検索などの機能も取り入れ、社内で発生する定型業務以外の要望にも、多角的に様々な形のデータを抽出できるようにして行きたいと思っています。」(株式会社明治産業 本田氏)
「引き続きMagicの生産性と移植性の高さを活かして、お客様のご要望に応えるシステム開発を続けていきたいと思います。また、今後スマートフォンやタブレット端末をビジネスに活用するお客様は、益々増えてくることでしょう。
WEB系のシステムについて、実際にお客様が操作しやすいのは、ブラウザとアプリのどちらの操作性なのかを検証し、より良い提案をさせて頂く予定です。」(株式会社エコーシステム 勝木氏)