バーコード処理で行う発注・納品管理が大きな負担
システム導入以前、発注業務、納品業務は、注文書、納品書という書式で行い、そこにバー コードを入れて管理していました。バーコード管理は手作業のため、近年プレス製品の需要が増し、仕事のボリュームが増えていく一方で、処理の負担が大きく なっていきました。多い時には、月に3,000枚程の伝票を発行していました。伝票の枚数が多くなれば、トラブルが発生しやすくなります。金型を使ったプレス製品を製作している久野金属工業株式会社は、2008年に外注協力会社と共に利用するWebEDIをMagic uniPaaSのRIAで実現しました。
こうした事態は、外注協力会社側でも同様に起こります。発注ミス等のトラブル防止のため、発注データを電子データで管理したい、という要望が外注協力会社からも数多く寄せられることをきっかけとして、EDIを検討されるようになりました。
EDIシステム導入の目的について、久野金属工業株式会社管理部主幹古澤一彦氏は次のように語ります。
「導入の目的は2つあります。1つは、検 収業務の合理化を図り、注文や納品の精度をより高めること。2つ目は、外注協力会社の生産管理をタイムリーに把握し、品物の流れを確実に管理することで す。お金の支払いに関わってくるところだけに、間違いのないよう、システム導入を検討し始めました。」
HTMLベースに比べて開発コストが圧倒的に少ないRIAで構築
2008年、関連会社である株式会社マイクロリンクに開発を依頼。当初はHTMLベースのWebアプリケーションでの構築を検討していました。しかし、 構想から半年程経った頃にMagic uniPaaSのRIAが選択肢として浮上。開発手法の検討の結果、HTML Webアプリケーションに比べて開発コストが圧倒的に少ないこと、及びユーザーの操作性を考え、最終的にRIAでの構築が決まりました。Magicの RIAは、日本が最初であり、その初めての事例が久野金属工業の事例です。
「今回のWebEDIシステムは、 Magic uniPaaSのRIAが販売されるとほぼ同時にリリースされました。販売前の構築でしたので、一番考慮したのは不具合をいかにカバーするか、です。しか し、結果としては、不具合は殆ど無く、C/Sでシステムを構築するのと変わりなく、短期間で開発が進みました。
また、久野金属工業の生産管理システムは以前より、MAGIC CSで構築してバージョンアップを重ねてきています。生産管理もMAGICで構築していたので、連携がスムーズにできたと言えると思います。」(株式会社マイクロリンク 代表 久野尚博氏)
導入にあたっては、主要な外注協力会社に話をして、意見をもらったり、システムが出来上が る前に業種ごとに分けて説明会を行ったりして、外注協力会社のシステム導入への理解を得ることに努めたと言います。また、システムの内容について、外注協 力会社が最大限使いやすいものにしようと、マイクロリンクと打ち合わせを重ねました。「どんな操作性にするのか、そこに一番打合せの時間をかけた」と古澤氏。
その甲斐があり、外注協力会社側から、他社のWebEDIシステムより御社のWebEDIシステムは断然操作性が良いね、という声が多かったと言います。
「中にはPCの扱いに不慣れなメーカーもあり不安でしたが、担当者が何回か訪問しレクチャーしただけで問題なく使っていただいています。」(古澤氏)
使う人全てに効果をもたらしたRIAでの構築
現在WebEDIを導入している取引先メーカーは40余り。導入により、すべての発注に対する納品状態や数量をお互いに共有することができるようにな り、行き違いがなくなりました。また、プレス製品の需要の伸びに呼応した外注協力会社への発注も、難なく処理することが可能になり、工数の削減につながり ました。開発当初、目的としていた課題が解決されたと言えます。
「需要が以前より増えた今も、システム構 築前の人員で対処できています。WebEDIを導入したことで、確実に合理化が進んだと言えます。納期の遅れはゼロになりました。遅れが生じる見込みで あっても、事前に情報を掴むことができるため、社内調整ができるようになりました。」(佐藤氏)
運用開始から3年余り経った現在、外注協力会社から改善要望が出されることがあります。
「そうした改善要望には、柔軟に対応しています。何故なら、使っている中で新しく発生した改善要望は、当社にとっても、外注協力会社にとっても大きな効果が望まれるからです。これもマイクロリンクさんが直ぐ対応してくれるので出来ることです。」(古澤氏)
「これがWebEDIをHTML WebアプリケーションではなくRIAで開発した最大のメリットと言えましょう。つまり、RIAがもたらした効果は、単なる開発コストの削減に留まらず、 システムを使う人全てに、それも将来に渡って効果を見出してくれるのが、RIAで開発した最大のメリットです。」(株式会社マイクロリンク 代表 久野尚博氏)
久野金属工業では、今後、外注協力会社からの直接出荷など、多様な出荷形態に対してもスマートに対応できるよう、改善を進める予定です。
▲図1 登録確認画面
▲図2 久野金属工業のWebEDIシステムの概要