年間約80案件の改良、新機能の追加を自社開発・保守し、コスト削減
高圧ガス工業株式会社は、溶解アセチレン及び酸素、LPガス等の高圧ガスを主体とし、各種高圧ガス容器、接着剤、塗料、カーバイド、LSIカード等の製造ならびに仕入れ販売を行っている会社です。
同社の「関係会社向け販売情報システム」は、グループのガス販売関係会社が、自社開発の同一のパッケージソフトを利用することにより、各社のシステム構築コスト及びシステム運用保守コストを削減するため、平成5年にdbMAGICVer.4を用いて開発されました。
平成6年4月から導入を初め、年間約2社ペースで導入し、これまでに33社の導入実績があります。(2012.03.16現在)
その後も開発ツールdbMAGIC.Ver4→Ver7→Ver8→Ver9にバージョンアップを重ねながら、関係各社からの意見・要望に対応するため、年間約80案件の改良、新機能の追加を自社で対応されています。
このシステムの導入により、大幅なコスト削減に貢献。また従来は難しかったシステムによる帳簿在庫管理を実現しました。バーコード利用の容器管理と販売管理との連携により、業務の効率化、容器使用料徴収にも大きく貢献してきました。
システムのオンライン化が急務に
しかし時代を経るにつれ、クライアント/サーバ型の分散管理方式である同システムには、いくつかの課題がでてきました。「一番の課題は、高圧ガスの容器管理システムのリアルタイム化でした。
従来システムはクライアント/サーバでバッチデータ交換方式のため、本社・営業所間のデータ連携・データ更新にタイムラグが発生し、最新の情報が各拠点に行き渡らず、容器の動きをリアルタイムに把握できませんでした。高圧ガス容器(ボンベ)は、1個体ごとにユニークナンバーで管理し、法令に定められた通りに正確に行う必要があります。容器データから販売店の売上を計上する仕組みもあるため、データをリアルタイムに反映、把握できることが求められたのです。
また、従来の拠点分散管理方式のシステムでは、タワー型サーバー30台を24社に分散して設置し、600台のクライアントで使用していました。サーバー30台となると、相応のコストが必要でした。ハードをメンテナンスする上でのトラブル対応が年間約200件、またプログラムを修正した場合、約80拠点に入替え作業について電話連絡をする必要があり、保守作業の手間も改善すべき課題でした。」
(高圧ガス工業株式会社 電算室理事室長竹村 忠氏、次長 板谷 剛男氏)
分散管理から集中管理へ3 ヶ月でRIAにマイグレーション
そこで分散管理システムからオンライン(集中管理)システムへの転換が検討されました。
「他言語での一からの開発や、他社開発のパッケージソフトを購入しカスタマイズする方法も検討しましたが、コスト面、また十数年間で培ってきたシステムを有効利用したいとの思いもあり、現状のままバージョンアップ、集中管理システム化する方法がベストでした。
調査を進めるなかでMagic uniPaaS RIAと、システム変更ノウハウを持っている㈱アインシュタイン設計社との出会いがあり、当社の資産であるシステムを継承できる、C/SからMagic uniPaaS RIAへのマイグレーションが実現可能となりました。
Magic uniPaaS RIAを選択した理由のひとつには、Magicへの信頼があります。
十数年dbMAGIC.Ver4からバージョンアップしながら使い続けてきましたが、その間毎年、年間約80件のカスタマイズに対応してきました。
というのも、同じ業種で同じパッケージを使用していながらも、当グループの24社各社には業務方法に違いがあり、様々な要望が寄せられるからです。他の言語で、これだけのカスタマイズに対応できるのかという不安もあり、そのままMagicを使い続けたいという思いもあったのです。」
(高圧ガス工業株式会社 電算室理事室長 竹村氏、次長 板谷氏)
平成22年7月、従来の分散管理方式から集中管理方式への構成変更をすべく、基本計画を策定。構成変更作業及びソフトウェア保守は、独自ノウハウを持つ㈱アインシュタイン設計社へ発注。構成変更作業準備に8 ヶ月、移行に12 ヶ月間毎月数社のペースで順次移行しトラブルも無く、平成23年12月に完了しました。
マイグレーションを担当した㈱アインシュタイン設計社の開発部部長 堂下 博司氏にもお話を伺う。「約3 ヶ月でマイグレーションは完了。RIA化はスムーズに進みました。また、ユーザー各社に導入した時は、かなりスムーズに移行ができたようです。
画面上の見た目や運用面もほぼ従来と変わらなかったため、資産の流用が上手くできたのではないでしょうか。」
サーバー10台/1拠点に集約しコスト削減と作業効率化
「従来システムでは、サーバー30台を24拠点に分散して設置していましたが、新システム移行でサーバー10台を1拠点(データセンター)に集約。集中運用管理することが可能になりました。そのためユーザー各社ではパソコンとプリンタのみの設置となり、日中に業務を中断して拠点間のデータ交換作業をする必要もなくなりました。
各社間は、インターネットVPN(暗号化接続)によりセキュリティを確保して接続、利用が可能です。
サーバー機統合によりハードウェアコストが大幅に削減され、また全拠点データの一元管理が可能となり、課題であったデータのリアルタイム更新や把握が実現しました。サーバートラブルもほぼ無くなり、保守作業も効率化されました。
今後はグループ全体でデータの連携や統合なども見据えながら、システム機能を充実させていきたいです。」(高圧ガス工業株式会社 電算室理事室長 竹村氏、次長 板谷氏)