背景
福島銀行では、2012年4月よりWindows Mobileの渉外支援システムを導入し、渉外担当者約200名が使用。ただ、利用していたスマートフォンでは、情報量の表示や操作性に難があり、今後、お客様への提案型セールスの推進、渉外担当者の生産性の向上においては、機種の更改が必要不可欠でした。
対策
機種は、iOSのiPadを採用。採用理由は、画面が大きいこと、iOSはモデルサイクルが長く、Androidよりも安定供給が見込めると判断。2014年4月、渉外支援システムをWindows Mobile対応(Magic uniPaaS)からiPad対応(Magic xpa)に2ヶ月で移行した。
結果
機種がWindows Mobileのスマートフォンから、iOSのiPadに変わった事により、営業スタイルが大幅に変わり、提案型セールスへの推進が図られた。更に、タブレットで画面が大きくなったことで、入力作業がしやくすなり、生産性も大幅に向上した。今後予定しているタブレット版の画面統合等の改善も踏まえると、渉外担当者の生産性が3割~4割は上がる。
[会社名] 株式会社 福島銀行
営業統括室 渡辺 了潤 様 |
[会社名] 株式会社シー・シー・ユー(開発担当)
代表取締役 青山 博喜 様 |
2012年4月Magicで開発された渉外支援システムを導入
福島銀行は、福島県福島市に本店を置く第二地方銀行です。店舗数は、福島県内を中心に56店舗を展開しています。2012年4月に、Windows Mobileのスマートフォン対応の渉外支援システムを導入しました。渉外支援システムとは、渉外担当者が外出先から、訪問予定の確認、顧客情報の照会、訪問結果の即時登録等の訪問予定実績を管理をするシステムです。当時、開発元である株式会社シー・シー・ユーが、モバイルの渉外支援システムのプロトタイプを制作し、提案したところ、株式会社福島銀行とのニーズも丁度重なり、渉外支援システムの導入となりました。採用された理由は、出来合いのパッケージではなく、ユーザーの要望に合わせたカスタマイズが可能であったこと。更には、PC用のWEBアプリとモバイルアプリがワンソースで開発されていることでした。
渉外支援システム機種更改の背景
今回、2012年4月に導入した渉外支援システムを、Windows MobileのスマートフォンからiOSのiPadに機種の更改に至った背景について、営業統括室の渡辺 了潤 様にお話しを伺いました。
「2012年4月の導入では、手書き、紙ベースの管理からPCとスマートフォン端末での管理となりました。予定実績管理業務においては、訪問見込から訪問結果までの一元管理ができ、管理漏れなどを防ぐある一定の効果はありました。ただ、渉外担当者が外出先で入力する機種がスマートフォンだったため、表示できる内容も限られ画面遷移が多く表示および入力に時間がかかりました。結果、帰店してからパソコン上で訪問結果を補完する渉外担当者も多く、システム導入の本来の目的であったリアルタイムでの管理が充分に機能していませんでした。更に、渉外担当者からは、操作性を改善して欲しいとの要望もあり、今後のお客様への提案型セールスの推進、渉外担当者の生産性の向上を考えた時、機種の更改は必要不可欠でした。」(株式会社福島銀行 渡辺氏)
機種はiOSのiPadを採用
「機種の選定に当たっては、提案型セールスを考慮しました。つまり、タブレットを利用しお客様に画面を見て頂きながらセールスができ、渉外支援システムで各種の情報の照会、訪問実績の入力が行えることを考えた場合、必然的にスマートフォンではなく、タブレットを選択することとなりました。しかし、タブレットになることにより、スマートフォンでは出来た電話連絡の問題が発生しましたが、店舗と渉外担当者の連絡は渉外支援システムのメッセージ機能で代用可能。お客様との連絡は、外出先から連絡する緊急性は少ないため、店舗に帰店してから連絡する運用でクリアできました。最後にOSを選定するに当たり、AndroidかiOSの選択となりました。セキュリティと今後の拡張性を考慮した結果、OSはiOS、機種はiPadを採用することにしました。」(渡辺氏)
機種決定から2ヶ月で移行
渉外支援システムは、機種決定から2ヶ月という短期間で移行されました。開発元である株式会社シー・シー・ユーの青山氏は次のように振り返ります。
「2ヶ月という短期間で移行出来たのは、事前に入念な準備をしていたこと、弊社のシステムエンジニアがMagicに精通していること、更には画面の仕様はスマートフォンのままで、タブレット用に画面の統合は行わなかったことです。その結果、2ヶ月という短期間で移行を完了することが出来ました。
ただ今回の移行作業中に、Magic側に一部不具合が見つかりました。一時期は、不具合の原因が分かりバグフィックスされるには、早くても2~3ヶ月はかかると思い移行の延期も考えましたが、MSJ(マジックソフトウェア・ジャパン)の対応が早く、次期バージョンでバグフィックスされるのではなく、ホットフィックスで直ぐに不具合が解決されたバージョンが提供されました。この対応の速さには正直驚きました。また、お客様もMSJの対応の速さに、ソフトウェアメーカーとしての信頼も頂きました。」(株式会社シー・シー・ユー青山氏)
生産性は3割~4割アップ
「今回の機種の更改に関しては、旧機種との並行稼働無しに一気に入れ替えても、スマートフォンの画面をそのままiPadに移行したため、オペレーションの改訂も少なく、現場では殆ど問題は出ませんでした。
一番の効果は、渉外担当者の営業スタイルが提案型セールスに変化したことです。今までのスマートフォンでは、画面が小さく、提案型セールスには利用できませんでしたが今回タブレットになったことで、投資信託商品提案やパンフレットの照会、各種シミュレーション結果もタブレットを使って出来るようになりました。また、訪問実績の登録においてもスマートフォンだと入力に5分位かかっていたため、お客様との打合せ後にスマートフォンを操作する必要があり、現場からの評判は良くありませんでした。今回タブレットになり、入力がお客様と打合せしながら完結できるので、リアルタイムで訪問予定と実績が管理できるようになりました。今後はiPad用に画面を統合して行く予定です。統合することにより、最終的には3割~4割の生産性向上は見込めると期待しています。」(渡辺氏)
▲上:移行前(Windows Mobile)下:移行後(iPad)