既に存在しているシステムをモバイル対応させる場合、元々モバイルデバイスでの利用を想定せず作られたシステムをモバイルデバイスで利用する形になるため、モバイル対応システムを0から作る場合より問題が発生しやすくなります。
そこで、事前にシステム全体を見直し、モバイル化の障壁となりそうな部分を把握して開発を進める必要があります。
既存システムをモバイル対応させるための手法とは
他のシステム開発でもそうですが、特に既存システムのモバイル対応開発においては、業務フローと要求仕様を明確にし、正しくシステムに反映させていくことが重要になります。
開発手法としては、プロトタイピングやスパイラルモデル、アジャイルソフトウェア開発などの手法が考えられますが、重要なのは、業務を最も理解しているユーザーサイドが主体となって開発を進めることです。
既存システムのモバイル対応では今までパソコンのブラウザや専用画面で行っていた作業をモバイルデバイスで行うことになります。
そのため、実物を触ってみないと分からないことも多く、利用者にとって、事前に具体的なイメージを持ちにくいという特徴があります。そこで、利用者が都度実物を確認しながら検討・修正をしていくことが必要になってくるのです。
ですから既存システムのモバイル対応開発を効率的に進める上で、上記のような反復型の開発方式を採用することは効果的であると考えられます。
既存システムで起こる問題点
利用を想定しているモバイルデバイスの機能で、既存の業務が遂行できるかどうかという問題があります。
たとえば、今まで社内のパソコンで行っていた業務であればプリンターに接続されていていつでも印刷が可能だったかもしれません。
しかし、スマートフォンがパソコンとほぼ同等の機能を持ち始めているとはいえ、プリンターなどの機能は当然搭載されていませんし、標準装備の外部インターフェースもデバイスによって違うためプリンターに接続できない可能性もあります。また、メモリーの容量やバッテリーの持ち時間などデバイスに依存する要素についても考慮が必要です。
モバイルデバイスは電源に常時接続されているわけではありませんし、搭載しているメモリー容量もパソコンに比べて少ないため、頻繁に通信が発生するようなシステムや大容量データを端末上で処理するようなシステムはモバイル対応には向きません。
既存システムからモバイル化する際には、デバイスが変わり画面が小さくなったり、入力方法が変わったり(キーボード入力からタッチパネル入力など)します。
また、利用者も使ってみるまでその違いが想像出来ないことも多いため、モバイルアプリケーションは分かりやすく直感的に操作できるようユーザビリティを重視して開発します。また、インターネットなどのネットワーク経由に変わることによるセキュリティ環境の変化についても、対応を考慮する必要があるでしょう。