情報システム開発にあたっては、既存のデータや機能の変更や削除より、追加の方が容易であるという特性を持っています。

現在使用されている既存の機能にトラブルが発生することを恐れ、既存システム部分に触ることなく、新しいシステムやデータ、機能を追加するという対応をとることが多いのではないでしょうか。

しかし、このような単純なシステム追加を繰り返すことにより、システム間の連携や整理が行われないままシステムの肥大化、老朽化が進み、システム全体が把握できなくなり、システムの改修自体も困難になってしまいます。

 

既存システムを拡張するためのパターン

既存システムの機能拡張を行う場合、大きく分けて2つの拡張パターンがあります。

一つ目のパターンは、既存のシステム上に、拡張される機能に合わせて、部分ごとに拡張をしていく方法です。

これは、既存のシステム自体を機能拡張に応じて改修していく方法であり、家に例えるならば、元々家が建っている土地はそのままにして、家を増築、改築していくイメージといえます。

もうひとつのパターンは、既存のシステムとは別に、拡張したい機能のために新しくシステムを作り、既存のシステムと連携させる方法です。

これは、既存のシステムとは別々に作った新システムを、既存システムに組み合わせる方法であり、家に例えると、元々家が建っている土地とは別の土地を購入して新しい家を建て、それから元の家と新しい家を渡り廊下などでつないでいくイメージに近いでしょう。

どちらのパターンを使うにしても、既存システムとの整合性をとり、不要なデータや機能を整理し、システム全体が把握できるよう、システム自体をシンプルな構造に保つことが重要です。

 

既存システムのクラウド化に必要なこと

既存の社内システムを持っている企業の中には、以下のような問題を抱えている企業も少なくないのではないでしょうか。

・システム管理者の不足

・物理サーバの維持コストの増加や老朽化

・対障害性の面で不安がある

これらの問題解消のために、既存システムをクラウド化する、という選択肢を検討する価値は十分あるといえます。

しかし、既存のシステムをクラウド化する前にクリアしておかなければならない課題がいくつか存在します。

 

①セキュリティへの不安

元々社内システムが、社内だけの閉鎖されたネットワーク環境にあった場合、インターネット経由のクラウド環境へ移行することに対する不安や、データなどを物理的にはクラウドサービスの共用サーバに移すことに対する不安などが挙げられます。

社内で管理している場合にもセキュリティの問題は常に存在しますが、クラウド移行にあたって十分なセキュリティが担保されるかを確認しておく必要があるでしょう。

 

②ネットワーク

既存のシステムをクラウド化する場合、インターネット環境を利用することが一般的です。

既存のネットワークとは接続経路が変わるため、どのようなネットワークを利用するのか、目的や要件に応じて検討する必要があります。

インターネット経由で閉鎖されたVPNなどの利用やインターネットを経由しない閉域型クラウドを利用することも出来ます。

 

③システムやデータの移行

既存のシステムやその上にあるデータなどをクラウド上に移行する方法を検討する必要があります。

移行と一言にいっても、物理環境から仮想環境への移行やデータのコピーなど様々なハードルが考えられます。

 

全ての既存システムがクラウド化に向いているとは限りません。

クラウド化することによってコストが増加したり、使い勝手が悪くなってしまっては意味がありません。クラウド化することによるメリット・デメリットを十分に検討した上で、そのシステムがクラウド化に適しているか見定める必要があります。

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