クラウド化で注目されるAPI連携
グループウェア、販売管理、顧客管理、財務・経理・人事……。これらクラウドから提供されるさまざまなサービスの活用が一般的になってきました。大手企業だけでなく中堅中小企業でも、クラウドサービスの活用が進んでいます。
ユーザはそれぞれ必要なサービスにログインし、業務を行うことがどこにでも見られる当たり前の風景になりました。多くのシステムを使いこなさなければいけないユーザの利便性とセキュリティを高めるため、シングルサインオンのソリューションが導入されることも増えてきています。
しかし、心配となるのがシステムサイロ化やデータ散在であり、にわかに注目されているのが「API連携」です。
API連携とは何でしょうか。何をポイントにツールを選択すればいいのでしょうか。ここではAPI連携のさまざまな疑問にお答えします。
API連携とは?
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システムとシステムを繋ぐこと、データとデータを繋ぐこと
”API”をWebで検索すると、「アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)」の略であることがわかります。アプリケーションを繋ぐインターフェースのことで、個々のアプリケーションやシステム同士を繋ぐための窓口あるいは仕組みのことです。
一般にシステムは個別に構築され、それぞれ個々の業務に最適化され完結していました。しかし、システムが複数構築されるようになり、データの重複使用が見られるようになりました。それぞれに最適化されてしまったことがデメリットを生む結果になり、連携が必要になってきたのです。
API連携の必要性とは?
システムサイロ化やデータ散在とは何のことでしょうか。どのような弊害があるのでしょうか。API連携の必要性をもう少し詳しく見てみましょう。
クラウドが浸透するにつれ、いくつものサービスを企業内で利用するようになりました。しかし、それらサービスはクラウドベンダーによって異なり、システムもデータベースも分散して、別々のクラウドに保存管理されるようになりました。
いくつものクラウドサービスを利用することで、いくつもの場所にデータが散在するようになったのです。このようにシステムが孤立していることを「サイロ化」と呼ばれます。
データ散在によって二重入力が多くなり、その手間が現場担当者の負担となっています。同じようなデータを何度も入力しなければならないのです。
また入力されたデータの更新も、それぞれのシステムやデータベースごとに行わなければならず、放置しておくとデータの不整合が生じます。例えば、お客様の担当者が変わると、そのたびに複数システムの担当者名の変更が必要になります。
データが分散しているため、データを統合して、集計したり分析したりすることが困難になります。全社的なデータの把握や共有が困難になっており、複数システムのデータをかき集めてくる必要があるのです。
ERPのように全社のデータを1つのデータベースで管理できるのが理想ですが、現実にはいくつものサブシステムにデータが分かれていたり、複数のクラウドサービスを利用しているために、データも外部に散在しています。
API連携の課題とは?
「システムやデータのサイロ化」「面倒な二重入力」「分析が困難」などの必要性から提供されるようになったのがAPI連携です。APIを標準提供しているベンダーもあればオプションとして提供しているケースもあります。では、APIが提供されていればこれらの問題は解決するのでしょうか?このAPI連携にも次の課題が指摘されています。
APIの仕様はベンダー各社で異なっていましたが、近年では標準化が進んでいます。その代表的な仕様が「RESTful API」で、HTTPでリクエストを出すと、JSON形式でデータが返って来るというものです。
ところが、実際行ってみると接続方法が異なっていたり、認証方式が違っていたり、統一されていません。データベースのデータの形や種類も違っています。手順もメソッドも微妙に異なっています。ユーザーは、クラウドベンダー独特のクセに翻弄されることになります。
API連携のニーズがにわかに高まっているものの、対応できるエンジニアは増えていません。そもそもITエンジニアの人材不足が慢性的に続いています。
API連携のプログラム開発を得意とするエンジニアは多くありませんし、初めて扱うAPIの場合にはドキュメントを読んでAPI仕様を理解する必要があります。サービスやアプリケーションの機能が多いほどAPIの数も多く、複雑になります。多機能なサービスのAPIリストを一覧でみるだけでも大変で、仕様を理解するだけでも多くの時間と労力を要します。人材が限られているために報酬も高止まりしており、簡単には外注もできないのが現状です。
さらに困ったことに、公表されていたAPIの仕様が、度々変更されます。
多くのお客様のニーズを吸い上げる必要性から、クラウドサービスは日々進化しており、APIの仕様変更も繰り返されているのです。仕様変更に応じてシステム改修が必要となり、その度に思わぬタイミングで追加コストが発生してしまい運用費の想定が難しくなります。
連携ツールの選択方法とは?
API連携の課題が明確になるにつれ、これらを解決できるAPI連携ツールが提供されようになっています。では、API連携ツールをどのようなポイントで選定すればそのメリットを100%発揮できるでしょうか。
API連携は、クラウド間はもちろん、オンプレミスのデータやアプリケーション間でも必要となります。クラウドとクラウド、クラウドとオンプレ、さらにオンプレとオンプレでも連携可能であることが求められます。
かつてAPI連携ツールは大企業における大規模システムを想定して開発されており、導入・維持費用は極めて高額でした。しかし現在ではクラウドが一般的になり、中堅中小企業にもAPI連携が必要になっています。リーズナブルな価格のAPI連携ツールが求められています。
API連携を実装する上で技術的な複雑さを隠蔽し、ドラッグ&ドロップでデータの連携フローをわかりやすく表現できることが求められています。これは、初期導入時の開発のしやすさだけでなく、連携フローやAPI仕様変更などに伴うメンテナンス性の向上と、変化への対応時間の削減に繋がります。また開発者個人に依存しがちな属人性を排除する意味でも重要です。
サービスやシステムを連携する道具がアダプタです。コネクタと呼ぶこともあります。標準アダプタが多ければ多いほど、手間をかけることなく連携できます。標準のアダプタの数が少ないと、追加アダプタを別料金で購入しなければなりません。
API連携の進化
API連携の進化形が登場していますので、併せて解説します。また、API連携とDXやRPAとの関連も紹介しておきましょう。
API連携により、複数のサービスを連携させ「APIエコノミー」を形成するケースがあります。大手クラウドベンダーがAPIを公開して呼びかけ、サービスを追加し多機能化させていくビジネスモデルです。CRM、SFA、MAなどのサービスを連携させて成功している例が見られます。
マイクロサービスという言葉もあります。部品のような小さなサービスを提供し、それらをモジュール(部品)として組み立て、大きなサービスにする開発手法です。
マイクロサービスではコンテナが主流になりつつあり、モジュール単位でコンテナを用意・連携し、1つの完成されたサービスに組み立てていきます。最適・最良と思えるマイクロサービスを必要に応じて取捨選択することで、サービス全体の価値を向上できるというメリットがあります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が潮流となり、現場主導でさまざまなシステムが構築されています。ここで危惧されるのが、システムやデータの散在です。データの一貫性が損なわれる危険性があるのです。かといって、過剰に規制することはDXの可能性を損なうことになります。そこで、システム部門側でAPI連携を集中管理する仕組みを確保し、ITガバナンスの維持に務めている企業があります。
複数システムへの二重入力は人手に頼っていました。人間系でデータをダウンロードし、Excelで変換し、別のシステムにアップロードするわけです。これを自動化するものとしてRPAが採用されていた時期がありました。「業務自動化の切り札」といった見出しとともにRPAが情報誌や新聞記事で取り上げられることも多く見受けられました。
しかし、しょせんRPAは画面操作を覚えさせて自動化する半アナログな技術です。API連携ツールが一般化している今、RPAは意味を失い欠けています。
まとめ
クラウドの普及により、システムやサービスが乱立し、データ連携が不可欠になってきました。
これを実現するのがAPI連携であり、API連携ツールです。
API連携ツールは「対応範囲」「価格」「標準アダプタ数」を選択ポイントとしましょう。
そしてこれに対応するのがマジックソフトウェア・ジャパンのデータ連携ツール Magic xpi(マジック エックスピーアイ)です。
中堅中小企業にも利用できるリーズナブルな価格で、世界標準のアダプタを多数搭載しています。ぜひ、お問い合わせください。